私たちのこと

2年前、防衛省は辺野古新基地建設に必要な土砂の調達先を沖縄県内に変更しました。当初は瀬戸内海や九州など本土から船で輸送する計画でしたが、外来種侵入を厳しく規制する沖縄県の「土砂搬入規制条例」をクリアすることが難しいと判断し、方針変換したものです。

 

私たちは大変危惧しました。

 

その後、防衛省が土砂採取の候補地として挙げたのが、沖縄県内です。そのうち南部の糸満・八重瀬の鉱山から全体量(2060万㎥)の7割を採取するという計画案が明らかになりました。こともあろうに地上戦で亡くなった膨大な遺骨が眠る「国定戦跡公園」から採取するというのです。

私たちの危惧は一気に高まりました。

 

長年、ボランティアで遺骨収集に取り組んできた「ガマフヤー」具志堅隆松さんをはじめ、仏教、キリスト教、沖縄神人(カミンチュ)の宗教者たちは20201210日、共同声明を発表しました。戦没者の遺骨が含まれている土砂を辺野古新基地建設に使わせてはなりません

 

昨年秋、土砂採取の候補地のひとつである熊野鉱山(糸満・米須)の所有者が、糸満市に開発許可申請を提出しました。数か月後、その最終的判断が沖縄県に委ねられました。

 

私たちの危惧は頂点に達しました。

 

「命がけで抗議のハンストをする」。具志堅さんの切迫した意思表明に、宗教者と「ガマフヤー」を支援する会のメンバーたちは一同団結し、31日から6日まで県庁前広場でハンストを決行しました。要求項目は2つ「沖縄防衛局は南部からの土砂採取を断念すること」「沖縄県知事は自然公園法33条による砕石事業中止命令を発令すること」。

ハンストは予想以上の反響を呼び、連日数百人の人が支援に駆け付けてくれました。マスコミでも毎日報道され、国内各地や海外でも連帯行動が相次ぎました。署名は6日間で一気に4万筆を超え、ひとりで2000筆以上ものネット署名を集め、駆け付けてくれた女性もいました。

 

私たちの危惧は決して間違っていないと確信しました。戦没者の遺骨が混じる土を戦争のための基地づくりに使う—―そのあまりに冷酷愚劣な計画に対し、抗議するわたしたちへの共感の輪が大きく広がったと思います。

 

玉城デニー知事は4月、さまざまな条件を付した措置命令を発したものの、業者も防衛局もまだ断念していません。法廷闘争になる可能性も十分あります。

 

私たちの力は決して大きくありません。しかし国民が声をあげれば必ず南部からの土砂採取は止められるものと信じています。「戦没者を2度殺すようなもの」「人としてやってはならないこと」「言葉が出ない」といった声が遺族から数多く寄せられています。

 

声なき戦没者、遺族の思いに寄り添い、この暴挙を断念させるまで一緒に闘っていきましょう。