琉球新報 公開日時 更新日時
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県農政経済課は11日、糸満市米須の鉱山開発のための農地転用許可通知書を、糸満市農業委員会を通して申請者の沖縄土石工業(永山盛也代表)に通知したと明らかにした。農地転用が許可されたことにより、鉱山から琉球石灰岩を搬出するための道路工事が可能となった。沖縄土石工業の永山代表は9月中にも搬出のための仮設道路設置に着工すると明らかにし、「琉球石灰岩の搬出は順調に進めば10月ごろからになる」としている。 (2、26、27面に関連)
玉城デニー知事は11日夜、「今後とも遺骨が混じる土砂が使われることがないよう、市民・業者、関係機関等と連携しながら適切に対応していきたい」とのコメントを発表した。
沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」などの市民団体は米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の埋め立て土砂に、沖縄戦の激戦地で遺骨の混じった土砂が使用される可能性を指摘し、採掘に関する許可をしないよう県に求めてきた。
県によると、現段階ではこの鉱山から採掘した土砂が辺野古の埋め立てに使われるかは決まっていない。一方、沖縄防衛局は設計変更申請の段階で、土砂の採掘先に本島南部一帯を追加している。
県によると沖縄土石工業が申請した農地転用許可の期限は3年間で工事延長は行わないと書面で確認済みだという。永山代表は「この場所での採掘は3年で終える。行儀が悪いと言われるようなやり方はしない」と述べた。
農地法では、農地転用手続きに関連する他法令での許認可が見込まれることも許可の条件に含まれている。市民らは工事に必要な県の赤土防止条例に基づく届け出がなされていないと指摘してきた。県は業者側に今後届け出る意思があるという確認が取れているとして許可を通知した。
搬出道路の建設現場に隣接する自然壕(ごう)「シーガーアブ」について、県文化財課は、文化財保護法に基づく手続きとして現況調査と工事立ち会いの2件について指示を出しており、そのうち現況調査のための測量結果については4日、糸満市と県と沖縄土石工業の3者で内容を確認した。
(福田修平、慶田城七瀬、岩切美穂)
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玉城デニー知事は11月25日、辺野古新基地建設をめぐり、沖縄防衛局から提出された軟弱地盤改良工事などの設計変更申請について、軟弱地盤の調査の不備や環境保全の措置が不適切として「不承認」と発表した。
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南部土砂問題の対応を問う 立候補予定者に質問状 岸田首相にも
沖縄タイムス 2021年10月9日 13:53
沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は8日、県庁で記者会見し、次期衆院選で沖縄選挙区からの立候補予定者を対象に、名護市辺野古の新基地建設に伴う本島南部地域からの土砂採取計画の断念を、国に求める考えがあるか尋ねる公開質問状を提出すると発表した。岸田文雄首相にも同様に質問する。
19日の公示までに、立候補を表明している人の事務所へ具志堅代表が届ける。岸田氏へは13日までに首相官邸へ郵送する。回答期限は立候補者が23日、岸田氏は郵送から1週間以内。
具志堅代表は「候補者はこの問題を選挙で訴え、有権者の判断を仰いでほしい。岸田氏は新首相として回答する立場にある」と述べた。
公開質問状は9月にも自民党総裁選挙に立候補した4氏へ提出したが、回答はなかった。
西銘恒三郎沖縄担当相が記者会見で、本島南部からの土砂採取計画について「一般論、常識としてどうかと思う」と疑問視したことには、「計画の撤回は当然で的を射ている。所管が違うと前置きしていたが、沖縄の問題は沖縄担当相の所管だ」と指摘した。
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県が総務省に答弁書提出「措置命令は適法」
2021.10.9 結縄タイムス
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具志堅さん 岸田首相、衆院選沖縄区立候補者に質問状
政党に続き「南部土砂採取」についての回答を求める
2021.10.9 沖縄タイムス
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社説[南部土砂問題]有権者に選択肢を示せ
沖縄タイムス 2021年10月7日 07:11
西銘恒三郎沖縄担当相が記者会見で、名護市辺野古の新基地建設を巡り、本島南部からの土砂採取計画を「一般論、常識としてどうかと思う」と疑問視した。
沖縄戦の激戦地だった糸満市などからは、今も戦没者の遺骨が見つかる。県民投票で否定された基地建設のために使うのは「戦没者を2度殺すような、人道に反する行為」との批判が根強い。
所管外とはいえ、県選出で南部地域の4区を地盤とする西銘氏が疑義を呈したのは当然だ。もう一歩踏み込んで政府に「南部土砂は使わない」と言わせるよう、閣内で働き掛けてほしい。
遺骨混じりの土砂が基地の埋め立てに使われるかもしれない計画は、31日投開票の衆院選でも問われるべき重要な争点だ。沖縄1~4区の立候補予定者たちは南部土砂問題の見解を明確にし、選挙戦を通じて有権者に説明する必要がある。衆院選は比例代表を伴う選挙であり、政党も見解を示すべきだろう。
沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は自民党総裁選前、主要政党にこの問題を尋ねた。
与党の自民は、岸田文雄首相をはじめ立候補した4氏全員が回答しなかった。公明は「必要があれば防衛省と協議したい」とした。
「到底許されるものではない」と批判した立憲民主と、共産、社民、れいわ新選組の4党は明確に反対。日本維新の会も「南部からの調達計画の見直し」を求めている。衆院選までに、全政党が見解をまとめてほしい。
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最も問われるのは、政府の姿勢だ。
南部の土砂問題が浮上したのは、防衛省が辺野古新基地建設で、採取候補地に糸満市などを加えたのがきっかけ。遺骨収集に責任を持つべき政府が、基地を造るための土砂を沖縄戦の激戦地から調達すること自体が、戦没者と遺族への敬意を欠いている。
菅義偉前首相は「採石業者においてご遺骨に配慮した上で、土砂の採取が行える」との認識を示したが、専門家は疑問視している。具志堅氏は「知識のない人が目視で探し出すのは、技術的にも物理的にも無理」と指摘した。
沖縄戦の戦没者の遺骨を含む土砂を埋め立てに使わない要望は、沖縄県議会が、新基地建設を容認する会派も含めて全会一致で可決している。
岸田首相は沖縄戦について、どのような見解を持っているのか。ぜひ自身の言葉で語ってもらいたい。
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土砂を基地建設に使う反発は、県外でも広がっている。
奈良県議会は、戦没者の遺骨などを含む地域の土砂を、基地建設の埋め立てなどに使用しないよう求める意見書を全会一致で可決した。
政令指定都市の大阪市をはじめ、本土の市町村でも可決が相次いでいる。
糸満市の平和の礎には県出身の犠牲者14万9584人だけでなく、本土の全46都道府県の出身者7万7458人も刻まれている。沖縄戦の犠牲と無縁な地域は存在しない。戦没者の尊厳を守ることは、全国に共通する課題なのだ。
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公開質問に対し立憲民主党、日本共産党、社民党、れいわ新選組、日本維新の会から届いた回答は下記の通りです。
国民民主党からの回答はありませんでした。
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TBS報道特集 戦没者の遺骨を守る戦い 22分40秒
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りゅうPON平和学習特別号 戦没者の遺骨を遺族の元へ 10分07秒
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誠意のない日本政府に対して参加者の非難の声が噴出・・・・
「怒りがこみあげてくる」
「太平洋戦争犠牲者の遺骨を遺族のもとへ」 日本の市民団体主催イベント 聯合ニュース(韓国)2021-09-14
22:01
(東京聯合ニュース特派員パク・セジン特派員)
「10年、20年前から、戦争責任を果たそうとしないとしない日本政府の対応は変わらない。~中略~日本の戦争で犠牲になったのは、日本とは関係のない私たちの父や夫や子供たちで、本当に大切な家族でした。日本が引き起こした戦争で、かけがえのない大切な家族を失ったのです」。
14日午後、日本の市民団体「戦没者の遺骨を家族のもとへ連絡会」と宗教平和ネットワークの主催で東京の衆議院第一会館で厚生労働・外務省・防衛庁との対話イベントが開かれた。対話イベントにオンラインで参加した太平洋戦争被害者補償推進協議会のイ・ヒジャ代表は、怒気を含んだ声でそう語った。
沖縄戦を含む日本が引き起こした戦争で犠牲となった韓国人被害者の遺骨を家族に返還しなければならない日本政府の責任について、怒りが表明された。
李代表は、家族たちは父親の遺骨収集のために努力してきた家族たちが、30年以上活動していて、2013年からは毎年日本政府に要請もしてきたが、何の成果もないと、担当部局である日本の厚生労働省を非難した。
李代表が言及した収集対象の遺骨の多くは沖縄戦の犠牲者だ。
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(東京聯合ニュース村田さき子通信員)
14日午後、沖縄の戦闘犠牲者の遺骨を遺族に返還する日本の市民団体、カマフヤーが主催する衆議院議員第一会館で開いた厚労働昌・外務省・防衛庁との対話集会に太平洋戦争被害者推進協議会の李代表が参加している。
沖縄戦は、日本の敗北直前の1945年に本土を死守するために沖縄本島南部で米軍を相手に繰り広げた熾烈な戦いだ。
当時、日本軍が本土を守る盾として押し立てた沖縄県民を含め、20万人近くが死亡したと伝えられている
沖縄大学地域研究所の沖本富貴子特別研究員の分析によると、沖縄戦には3,461人の朝鮮人も兵士や軍人として動員され、そのうち701人が死亡した。
記録では把握されていない人を含め、実際に動員されたり、死亡した朝鮮人はもっと多くいるはずで、そのほとんどは彼らが犠牲になった周辺地域にそのまま埋められていると推即される。
具志堅隆松氏が率いる市民団体「カマフヤー」は、朝鮮人を含む全ての戦没者の遺骨を収集し、家族に戻す人道主義の運動の先頭に立ってきた。
李代表は、日本政府が、かけがえのない家族を失った遺族のことを思えば、すでに解決できた問題だと述べ、日本政府に対し、具志堅氏に会って、学ぶよう強く求めた。
そして、日本政府は、日本のせいで最愛の家族が犠牲になり、一家が破壊されたことに対して責任を問われるべきだと指摘し、「何回同じことを言えばいいのか、本当に怒っている」と語気を強めた。
(東京聯合ニュース 村田さき子通信員)
14日午後、東京衆議院議員第一会館で行われた厚生労働省・外務省・防衛省との対話集会で、沖縄戦の犠牲者の遺骨を遺族のもとに返還する運動を行っている日本の市民団体、カマフヤー代表の具志堅降松氏が、戦没者の遺骨が混ざっていると推測される土砂を示している。
この日の対話集会では、沖縄で戦死した韓半島出身者170名の遺族が韓国政府を通じてDNA検査で家族の遺骨を探してくださいと申請していたことに対して、日本政府が日本人の鑑定を優先し、韓国人の鑑定を後回しにしていることについて、批判の声が上がった。
これに対し、厚生労働省の職員は、韓国出身の戦没者の遺骨を遺族に返還するためには両国政府のレベルでの議論がまず進展しなければならないが、それができてない状況なので、先ずできることからやっているので、差別ではないとの立場を明らかにした。
また、この対話集会では、戦没者の遺骨が混在する可能性のある糸満などの沖縄南部地域の土砂を米軍基地の埋め立てに使用すべきではないという33,000人の署名が、防衛省側に提出された。
日本政府は、沖縄普天間の米軍飛行場を同じ沖縄の辺野古沖の埋め立て地に移転する計画を進めている。
日本政府は、この埋め立て地に使用する土砂を、太平洋戦争末期に日本軍と米国軍が激戦を繰り広げた沖縄本島南部の地域から採取しようとしており、具志堅氏などの反戦運動家たちは、沖縄戦の犠牲者の血がしみ込んだ土砂を米軍基地建設の埋め立て作業に使うべきではないと主張している。
(東京聯合ニュース)村田さき子通信員
沖縄戦の犠牲者の遺骨を遺族のもとに返還する運動を行っている日本の市民団体カマフヤーなどの主催で14日午後、東京の衆議院第一議員会館で行われた厚生労働省・外務省・防衛庁との対話集会で、遺族たちが厚生労働省職員にDNA鑑定の集団申請書を渡している
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激戦地土砂採掘「原状回復まで3年に短縮」 業者が新工程表
琉球新報 2021年8月3日
【糸満】南部土砂の採掘を巡り、採掘業者が2日までに、採掘から原状回復までの期間を約3年間に短縮した工程表を糸満市に提出した。新たな工程では9月に採掘を始め、2024年に緑地帯の原状回復を完了する予定。当初の工程は20年から約7年間だった。
業者は採掘した鉱石を運搬するため、鉱山北側の農道に続く農地の一時転用を糸満市農業委員会に申請している。業者の代表は本紙に対して「農地の一時転用が3年以内となっているため、法令に基づいて工期を短縮した」と説明した。当初の開発計画と比べ工期が大幅に圧縮された格好だが、「ヤードの確保など必要になる部分も出てくるが、できないことはない」と述べた。
業者が新たな工程表を提出する以前、7月下旬に開いた市農業委では、7年間かかる計画に対して3年内の一時転用を認めるのは整合性が取れるか判断できないとして、県や国に確認を進めていた。一時転用は、県が最終的に判断する。
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具志堅さん2度目のハンスト開始 沖縄戦遺骨眠る南部土砂の埋め立て不使用求め
琉球新報 2021年6月19日
沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんは19日午前、沖縄防衛局が県に提出した名護市辺野古の新基地建設の設計変更申請を不承認とするよう求めてハンガーストライキ(ハンスト)を那覇市泉崎の県庁前の県民広場で開始した。埋め立てに使う土砂の採取予定地として、沖縄戦の激戦地だった沖縄本島南部が加えられているため「遺骨が含まれた土砂を使わないでほしい」と訴えている。
ハンスト中に沖縄戦の遺族の署名を集める。期間中、玉城デニー県知事への要請も検討している。具志堅さんは国の計画断念を求め、3月にもハンストを実施しており、今回が2度目。
ハンスト開始に当たり、具志堅さんは「前回のハンストで多くの遺族が訪ねてくれた。どうにか遺族の声を形にできないか考えていた」と署名の意図を説明した。また「不承認にするという話は漏れ聞こえるが、玉城知事の口からは一向に出てこない。知事は自信を持って進めてほしい」と述べ、玉城知事の背中を押す考えも示した。
21日からは糸満市摩文仁の平和祈念公園に場所を移してハンストを実施する。
沖縄防衛局が県に提出した名護市辺野古の新基地建設の設計変更申請を不承認とするよう求めてハンガーストライキ中の具志堅隆松さん(左)=19日午後、那覇市の県庁前の県民広場
2度目のハンガーストライキ開始を前に、記者らの質問に答える具志堅隆松さん=19日午前8時すぎ、那覇市の県庁前の県民広場
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「ご遺族にぜひ知ってほしい…」戦没者の遺骨が眠る土砂の行方
靖国周辺でハンスト開始
沖縄タイムス 2021年8月15日
【東京】沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄戦戦没者の遺骨が混じる可能性がある本島南部からの土砂採取計画の断念を求め、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんが14日、全国戦没者追悼式が15日に開かれる日本武道館(千代田区)周辺でハンガーストライキを始めた。政府に計画撤回を訴えるため、追悼式参加や靖国神社参拝で周辺を訪れる人々に現状を知らせる。15日夜まで。
日本武道館近くでハンガーストライキを始めた具志堅隆松さん。2日間、水やお茶だけで過ごす=14日、東京都千代田区・田安門前
「本土のご遺族にぜひ知ってもらわねばならない。戦没者の遺骨が国によって海に捨てられ、尊厳が損なわれようとしていると」
14日午後1時ごろ、小雨が降る中でハンストを始めた具志堅さんは語った。
新型コロナウイルス感染拡大が収まらず、ハンストをいったん断念したが「終戦記念日が過ぎると人々の関心が薄くなってしまう危機感があった」と支援者を伴わず、一人で上京することを決めた。支援者が多く集まる中、声を出さずにチラシを配るなど感染対策も徹底する。
近くの日本武道館や靖国神社には15日、多くの遺族らが足を運ぶ。具志堅さんは「戦没者への思いを持っている式参加者や参拝者に現状を伝え、一緒に声を上げてほしい」と語る。
南部土砂を埋め立てに使わないよう訴える署名を集めるためのチラシも配る。具志堅さんによると、糸満市摩文仁の平和祈念公園で6月に実施したハンストや支援団体の協力などで集まった署名は約3万5千筆に上り、9月7日、防衛省に提出する予定だ。
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琉球新報
<社説>南部土砂中止見送り 根源の埋め立てを止めよ
2021年4月17日 05:00
沖縄戦で亡くなった人々の遺骨が眠る沖縄本島南部の土砂を採掘する計画に対し、玉城デニー知事は遺骨収集に支障が生じないことなどを求める措置命令の発出に向け、採掘業者に弁明機会を与える手続きを始めた。
県議会で土砂使用をやめるよう求める意見書が全会一致で可決した直後だが、中止命令には踏み込まなかった。
遺骨が眠るであろう土砂を戦争につながる基地建設に使わせないためには法律の壁がある。必要なのは政府の決断だ。すなわち辺野古新基地建設の断念である。
沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんらが望んだ中止命令には至らず、県民からは反発する声もある。今後中止命令を出す可能性はあるものの、今回の手続きは知事の最終判断に近いものだ。
そもそも南部の土砂採掘が問題になった原因は、普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古への新基地建設にある。
沖縄防衛局が設計変更に伴い、土砂の調達先を県全域に拡大したからだ。その理由は軟弱地盤が見つかり、必要な土砂の量が当初の6・7倍に上ったことにある。
15日の県議会で、全会一致で可決した意見書は、県民だけでなく日米の兵士らの遺骨も含むであろう土地を守る決意を示した。平和の礎に象徴される「反戦・非戦」の県民意思が党派を超えて形になった。その意味を政府は重く受け止めるべきだ。
これまでの政府の対応や閣僚の発言を見ると、県民の思いが伝わっているか、はなはだ疑問だ。岸信夫防衛相は具志堅さんが抗議のハンガーストライキを開始した際、南部地域を土砂採取から外すことには言及せず、業者との契約時に遺骨の取り扱いを明記する考えを示した。
戦後76年が経過し、風化が進む遺骨が土砂に混じっているかどうかは、目視など通りいっぺんの確認で分かるはずがない。遺骨を家族の元へ戻したいと願う人々の気持ちを全く理解していない。
政府が責任を持って行うべきは、ほかにもある。本島南部をはじめとする遺骨収集だ。
遺骨が土砂に混じらないよう採掘業者に責任を負わせるような手法は、2016年に施行した遺骨収集推進法にある「施策を総合的に策定し、確実に実施する」という国の責務に反する。
また自然公園法の改正も急ぐべきだ。
自然公園法は生態系や環境の保護を前提としている。沖縄のような戦跡を守るという概念が抜け落ちている。
対象となった業者に限らず、本島南部には土砂を調達可能とする企業が13社ある。
同様の問題は今後も起こりうる。戦没者の遺骨を守るためには、戦跡を含めた地域全体の保護を法に明文化する必要があるのだ。
立法府にも重い責任があることを忘れてはならない。
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